
「一式工事の許可を取得したらどんな工事でも請けられる!」
「一式工事の許可があれば、専門工事の許可はいらない!」
そんな考えをお持ちではないでしょうか。
しかし、これはよくある「誤解」であり、知らずに工事を請けてしまうと、
場合によっては、建設業法違反として刑事罰の対象となることがあります。
具体的には「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」が科されるケースもあり、注意が必要です。
この記事では「一式工事」の許可が本来どういったケースで必要な許可なのかを解説し、
実務上ありがちな誤解をなくすとともに、
実際の建設業許可制度における「一式工事の正しい位置づけ」を整理することで、
誤った認識のまま工事を受注してしまうリスクを防ぐことを目的としています。
なお、ここでは兵庫県の手引きを参照し、記事を作成しています。
⇒兵庫県建設業許可の手引き
【一式工事許可=万能許可ではない!】
建築工事業(建築一式工事)の許可を持っていても、各専門工事の許可を持っていない場合は、500万円以上(税込)の専門工事を単独で請け負うことはできません。土木工事業(土木一式工事)も同様の扱いとなります。
例:「○○邸内装改修工事」:「内装仕上工事」に該当する場合、建築一式工事業の許可のみでは500万円以上(税込)の工事は請け負えません。
「建築一式工事」とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事とされています。通常、新築及び増改築等の大規模工事を元請として請け負う工事が該当します。それ以外の工事は、原則として各業種の専門工事となります。
上記は兵庫県が公式に出している「建設業許可に係るQ&A(A.5)」を抜粋したものです。
このように、公式においても一式工事の許可を取得していても専門工事を単独で請け負うことはできないと明記されています。
ではもう少し、詳しく定義から確認していきましょう。
【一式工事とは?】
「一式工事」とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物(土木工作物)を建設する工事とされています。
要するに、複数の業種が混在する工事を一括して請け負うのに必要な許可ということです。
例を出すと、一式工事許可と対比する「専門工事許可」だと、新築の一軒家を建設するのに、内装工事は内装許可の業者、配管回りは管工事の業者、屋根工事は屋根工事の業者といったように、
業種ごとに別々の業者に対して発注する必要が出てきます。
それに対して、「一式工事許可」を持っている業者であれば、元請として
工事全体を請け負い、その工事を完成させるために必要となる各専門工事(内装工事・管工事・屋根工事など)を組み合わせて施工することができます。
(実務上は、これらの専門工事をすべて自社で行うケースは少なく、専門業者に下請として発注しながら工事を進めるのが一般的です。)
このように、一式工事の許可を取得していればどんな工事でも「施工する」ことができます。
しかし、勘違いしてはいけないのは、どんな工事でも「受注できる」わけではないのです。
というのも、あくまで一式工事の許可は、「一括して請けた」工事をその注文の範囲内で
施工することができるということです。
一括した工事の受注とは、「建築物(新築、マンションやアパート、学校など)」と
「土木工作物(道路、河川やダム、トンネルなど)」の2種類であり、
家屋の「内装工事のみ」や「外構工事のみ」など一括ではない個別の工事を請けることはできません。
【一式工事は元請が前提?】
さらに、上記でも紹介した「建設業許可に係るQ&A(A.5)」には、
通常、新築及び増改築等の大規模工事を元請として請け負う工事が該当します。
と記載されています。
このように、一式工事は元請として工事全体を請け負うケースを想定した許可であり、
基本的には元請として受注することが前提となります。
もっとも、「通常」と記載されているとおり、個別の工事内容や契約形態によっては、下請として一式工事に該当するケースが認められる可能性もあります。
ただし、そのようなケースは例外的であり、実務上は一式工事は元請工事として扱われることがほとんどです。
〈一式工事を下請業者に「丸投げ」はできない〉
上記の通り、一式工事は「元請」として受注し「工事全体の管理・調整」を行うことが前提となります。
そして、一式工事を受注した業者は、実務上、
多くの専門工事を下請業者に発注して工事を進めるケースが一般的です。
ただし、ここで注意しなければならないのが「一括下請負」の問題です。
一括下請負とは、元請業者が受注した工事の「全部」又は、「主要な部分」を下請に出してしまう行為、いわゆる「丸投げ」です。
この行為は、「注文者があらかじめ書面で承諾」していない限り、建設業法違反となり、
営業停止や許可の取り消しといった行政処分の対象となります。
なお、元請業者はもちろん、引き受けた下請側も処分の対象となりますので注意しましょう。
まとめ
今回は、「一式工事の許可があれば何でもできるのか」という点について解説しました。
一式工事は、専門工事を自由に施工できる万能な許可ではなく、あくまで元請として工事全体を一括で請け負うための許可です。
そのため、専門工事との関係や一括下請負のルールなどを正しく理解しておかないと、
意図せず建設業法違反につながる可能性もあります。
実務では判断に迷うケースも多いため、少しでも不安がある場合は専門家に確認しておくことが安全です。
姫路市をはじめ兵庫県内で建設業許可についてお困りの方は、
弊所でもご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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